金属材料という分野 part1

先日僕の所属する大学の大学院説明会(外部向け)がありました。

そこで、15人ほど興味を持っていただいたみたいで、実際に研究室見学に来てくださったんですが、所属が材料系の方もいれば、機械系の方もいらっしゃいました。

僕の大学では、金属材料を扱う専攻があるのですが、中には機械系学科内に含まれているような大学も多いという事だそうで、学部時代に授業で扱う内容が少し違うみたいです。

そこで、金属材料の学部授業についてと院試勉強について紹介してみようと思います。

大学院に限らず、進路決定の一助になれば幸いです。

※僕の大学院では院試に実際に出題される範囲は授業範囲よりも狭いので、勉強範囲については過去問を各大学の過去問をみてください。

 

〜数学〜

数学に関しては工学系で基本的に大きく変わらないと思います。

線形代数微積分、ラプラス変換フーリエ変換複素関数微分方程式くらいでしょうか。院試勉強ではマセマをやってれば良いみたいな風潮がある気がしますが、僕は『サイエンス社』から出てる演習書を不安な分野だけやって、『詳解と演習 大学院入試問題数学 海老原円...』を一通り勉強しました。

 

〜基礎物理〜

これも工学系では殆ど共通かと思いますが、少しだけ他学科と変わっているかも。

まず初めに、力学(解析力学も含む)と電磁気学量子力学固体物理学統計力学・熱力学を学習します。

と言っても、理学部物理とは違い、カリキュラム上そこまで深く学習する訳ではありません。力学・電磁気学ともに岩波書店の『物理入門コース』程度のレベルの講義でして、例えば、『理論電磁気学 砂川重信』みたいな内容はやっていませんし、量子物理への導入部分と成り得る?ような分野はすっとばした記憶があります。

力学、電磁気に関しては高校で習ったような領域を大学の数学で再記述する、というような内容だったと思います。

量子力学の授業は結構多かったです。(固体物理学へ展開していきます。)

波動方程式、井戸型ポテンシャル、調和振動子、水素原子モデル(確率密度関数とか)、磁気スピン、摂動あたりを取り扱いました。実は良くわかってないのですが、単位は取れたのでまあ良しとしています。

固体物理学統計力学や物性論の分野は複数の授業が横断的に行われたので、キーワードを残します。(院試では出ない分野です。)

化学結合、分子軌道(多粒子系・π電子近似とか)、格子振動、音響・工学モード、デバイ模型などですかね?

授業の教科書は『キッテルの固体物理学』でしたが、アシュクロフトマーミンの方が好きでした。『アシュクロフトマーミンの固体物理学の基礎』内で示されている、1学期入門コース講義に該当する部分はやった気がします。

統計力学は、マクロとミクロを繋ぐ学問だそうです。

授業はありましたが、出ていませんでした。(板書が読めず、出席もとらなかったので。)試験の過去問は持っていたので、おそらくの授業内容だけ示しておきます。

統計力学Ⅰ・Ⅱ 田崎晴明』の9章くらいまでの内容であったと予想されますが、非常に簡単な試験内容であったために、この本で勉強するのは試験勉強としてはオーバーワークかと思われますが、すごく人気のある本です。

最後に熱力学ですが、材料系独特のカリキュラムなので、次の項で。

 

〜金属材料系〜

ここからが、金属材料系が勉強する主な部分となります。(正直、基礎物理系の所は書くのがしんどかった。。)

①材料力学(院試に出る)

材料力学は、物体が壊れないという前提の元で、どれだけ伸びるか、撓むか、歪むか、ねじれるか、などを学習します。機械や建築系では、この先に動力学の構造力学や機械力学を学びますが、材料系では材料力学まで。教科書としては、『JSMEテキストシリーズ 材料力学』がわかりやすく、演習書はサイエンス社の『演習材料力学』を使いまいした。

流体力学・伝熱工学(院試に出る)

機械系ではかなり細かくやるそうですが、材料系では動力学の基礎(ベルヌーイの定理周辺)しかやらず、主に流体としては伝熱工学の講義が主です。伝熱工学は、『発熱体があって、物体があって、ここ何度?』っていうのを知る学問です。熱の伝わり方にも状況により様々ですし、発熱に関しても然りです。材料系としては、これらの考え方を基礎として、物質移動というものを学びます。