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金属材料という分野 part2

続き。

③熱力学(院試に出る)、化学反応速度論(院試に出る)、金属組織学

熱力学といっても、実は化学系のものと、機械系のものと、物理系のものと、僕のやった熱力学は異なる。

化学系の熱力学は、物理化学という大きな学問体型の中の一つ。

機械系の熱力学は、熱機関が主な対象となっている気がする。

物理系の熱力学は、『熱力学 田崎晴明』、少し難しいけど演習がたくさんついている『キャレン 熱力学および統計物理入門』みたいな学問対象として熱力学をあつかっている?イメージ。

では、金属材料系では?と言うと、

『ある材料Aとある材料BをまぜるとCができる』(A+B→C)

という反応式に対して、エネルギーの観点から反応を考えるという事をやる。

エネルギーの低い方向に反応が進む事は言うまでもなく、温度上昇とともにその様子は変化する。(酸化のしやすさを見るエリンガム図というものがあります。)

こういう学問を基礎とした金属の状態図の授業があった。

熱力学では、無限時間を前提として議論しています。Cという物質はできるんですが、100年で1gです、では工業的に成立しない場合が多いので、反応速度というのも学習します。(化学系でもたぶん学習する。)

要はどれくらいの時間でどれくらい反応が進むか、という事を知る学問です。

しかし、実際の反応を考える際に、これでは不十分で、

反応の速度を決めているのは(律速過程)は反応だけではないかもしれないからです。仮に、2つの箱の中に、お互い反応性が高い気体同士が入っていたとして、その箱同士の結合部分が十分に細ければ、反応は活発であると言えないかもしれないし。つまり、物質移動も考慮しなければならないという事情があって、流体の講義の重要性があると思ってます。また、反応が電子を介する反応であれば(金属に腐食とか)、電気化学の守備範囲となり、それも授業で学習しました。

また、生成物のその反応系の対して作用するエネルギー変化も同様に考えなければいけません。(Cの方がAとBのエネルギーを足した値より低いから反応が進む!とはならない。)(安定性の議論)

また、2つの金属を混ぜた溶体を凝固させた際の金属組織についても学習します。

 

もっと詳しく書きたいんですが、ここでは定性的に授業内容を思い返すに止まっておこうと思います。参考書を書いておきます。

・ミクロ組織の熱力学 日本金属学会

・固体の熱力学 コロナ社

・状態図と組織 中江秀雄

・状態図入門 坂公恭

・金属材料組織学 朝倉書店

・材料組織学1、金属材料学

・電子移動の化学 渡辺正 中林誠一郎

(本ではありません。ネットでopenになっている講義録です。辻先生という鉄鋼材料を研究されている有名な先生です。上の金属材料組織学の著者の一人ですが、この教科書、非常によく纏まっていますがこれで理解するのは個人的に厳しかったので、講義の方が分かりやすいと思います。)

・固体内の拡散 コロナ社

 

④結晶学・強度学(院試に出る)

結晶学の基礎は色んな所で触れられています。

固体物理学(アシュクロフトマーミンとか)の中でも出てきますし、前述の金属材料組織学などでも出てきます。まあ、要は(1 1 1)面みたいなやつです。

強度学は、金属の結晶の方位性が強度に与える影響であったり、線欠陥である転位について学びます。転位は弾性論がベースになっているので、それについても簡単に学びます。書いていて疲れてきたので、本をあげておきます。

 

X線構造解析 早稲田嘉夫

(これに対応した演習書もあるので、良いかも。院試で出るのは演習書の3章まで。)

(あと、早稲田先生が書いた『熱力学ー問題とその解き方ー』は金属系の熱力学の演習書として良いと思います。電気化学の演習も載ってます!)

・カリティX線回折要論 松村源太郎 

(とても有名。実験方法みたいなのも書いてあって楽しい。持ってて間違いない。)

・結晶電子顕微鏡学 坂公恭

(個人的には結晶学で一番好きな本です。電子顕微鏡で有名な先生です。)

・材料強度の考え方 木村宏

(材料強度を比較的定性的に書いてる本。最後に高温変形の項もあります。)

・高温強度の材料科学ークリープ理論と実用材料への適応ー 中島英治

(院試には全く関係ないけども)

・材料強度の原子論 日本金属学会

(難しいけど、色々載ってる本。)

・入門転位論 加藤雅治

(かなり分かりやすい!また、東工大の講義録がネットでopenになってて、『格子欠陥と転位』っていうのが加藤先生が現役時代に書いた講義ノート、らしいです。)

・転位論入門 鈴木秀次

(持ってるけど、あんまり見ない本。難しそう。)

・結晶転位論 坂公恭

(坂先生の本は絵が多くて本当に分かりやすい。必要最低限の弾性論についての記述もある。)

・弾性論 ティモシェンコ

(この学問を作った人の本。ページの大半は材料力学で見たような内容だけども、なんとなく式を立てて解いてた、そのなんとなくの部分を詳しく書いてある本。ページ数は非常に多いが、論理の飛躍が全くと言って良いほどないので、読みやすい。そして、読んでいてすごく楽しい本。)

・解いてわかる材料工学Ⅰ・Ⅱ 永田和宏 加藤雅治

(金属材料系に焦点を合わせた総合問題集はこれ以外に見たことがない。熱力学、反応速度論、金属凝固、状態図、弾塑性論、転位などの演習ができる。誤植もいくつか見つけたが、次の行ではキチンと治ってたり、単位が間違えている程度の物が多いと思う。一番の問題はもう買えないこと。神保町の古書街で探しまくった。)

 

その他にも材料系の本として、

・材料の科学と工学[1]〜[4] WDキャリスター

(個人的には[1]と[2]しか持っていない。例題も結構あり、学び始めには良いけど、多分院試でも内容的に足りない。章末の演習問題にも解答がついてて、学びやすい。)

・材料科学1〜3 CRバレット

(基本的にキャリスターの本と同じような感じ。特徴としては、結構物性値が表にして沢山のってあって、(この値本当かな?っていうのもあるが)結構参照することが多い。ただ、章末の演習に答えがない。今後解答例でも載せれたらいいな、と思っている。)

・金属物理学序論 幸田成康

(格子欠陥から転位論に詳しい。章末に参考書をあげてくれていて、コメントもついているから嬉しいが、殆ど古い本で中々手にとって読めない。)

・金属用語集 長崎誠三

(勉強してると、知らない言葉が出てきて、調べると、どの辺の領域の話か大体分かる。英語の論文を読んでいても専門用語だと気づかない事があるので、この本を持ってると色々と捗る。)

 

院試に出る内容はここまで、だと思う。

次は、院試には出ないけど、授業があった事について書きたい。